雑収入の翌期処理の入金は税務調査の修正理由となるか?
税務申告の修正申告理由として良く指摘されるのが、期間損益の原則にかなっていない処理を会社がしていたことである。
期間損益の原則とは、今の企業会計では費用収益の期間対応をうたっている会計原則である。
現金主義でなく、その事業年度の損益は発生主義が原則である。簡単にいえば売掛金・未収入金の計上や買掛金・未払費用の計上をしなければいけないとなっている。その事業年度までに計上されなければならないものは、たとえ翌期の入金や支払であっても、決算期末に計上しなければならない。決算のチェック項目としても、売上の計上もれや、雑収入の計上もれは、決算期末後の2ヶ月分の入金をみて、漏れているか調べるのが当たり前である。
但し、税務申告の申告期限が決算期後2ヶ月以内であるから、2ヶ月分は無理で大体1ヶ月分をみれば、ほぼ問題ない。
つまり、3月決算であれば、4月の入金・支払をチェックするようになる。特に、4月入金は当然3月の売掛であるから当然のように計上されるが、業種によっては締日に気をつけなければならないことがある。
例えば、
当月20日〆の翌月未入金の場合、つまり、3月21日~3月31日までに納品した売上は4月20日〆の4月分売上として相手に請求するのが一般的である。この3月21日~3月31日までの納品や工事の進捗状況の割合が売上漏れや、商品・仕掛品の期末棚卸漏れとして税務署からみれば、申告漏れを指摘される場合がある。
その場合、他の修正申告理由や修正申告所得の多募によって、翌期修正することを条件として行政指導にとどめ、あえて修正申告理由にならい場合もある。では、その判断基準は何か。行政通達にも考えを示したものはあるが、個別な事例や金額の基準はないようである。つまり、現場の調査官の判断によることが多い。よく税理士か重箱の隅をつつくような方法で調査し、納税意識や税務署に対するイメージの低下をもたらすような足腰の立たない、ようなやり方はやめてくれ、という要望はそういう事である。又、よく修正申告を出す必要があるかどうかで税務署と争うのはこの点である。
会社側としても、重要性の原則や、継続経理の原則といった企業会計原則があることからも、どこまで会計処理をしていったらいいのか悩むところでもある。
今回の調査の場合も、10数年間、現金処理をしてきた為、それでいいと思ってた点。当然、税理士も毎年申告を依頼したにもかかわらず、この点を見落としていた点である。
金額も100万位であり、未払費用の計上もれが他同じ理由で40万あり差引60万の修正所得である。
これを認めるかどうか、いわゆる「おみあげ」を出すかどうかである。
税理士は翌期認容されることでもあり、ここでもめると調査長引くからという理由で修正申告をするように勧める。なんのことはない。自分が見落としておきながら、長びかせるのは面倒くさいのだ。年末にこんな些細なことはさっさと済ましてほしいと思っている。だが、当事者である会社としては修正税額で30万位になるので、急な出費であり、できるだけ払いたくない。
そこで、修正申告にあんに簡単に応じることをせず、なぜこうなったのかという理由を訴え、もし、調査が長引いたとしても、税理士としての見解を税務署の統括調査官に主張すべきである。いって損はない。但し、理屈の通らないことをいっても無駄である。
会社としても、上申書を出して、その指摘された事由に対して何年もそういう処理をしていなかったこと(現金主義)や支払についてもそうであって、悪意でしたことではない何年も継続経理をしていた。税理士の指摘もなかったこと。初めは売上も少ない為金額も少ない(過去10年間の数字で調べて主張する)こと、内容か雑収入的なものであること。等を上申理由にして、進行年度で計上すること、こんな願いにしてみることを勧める。税務署としても鬼ではない。全部とはいわなくても半分は聞いてくれる。
要は、税理士の事後処理の対応による。
ともかく、安易に修正申告に判を押さないことである。押すのは簡単であるが、後から納税の支払いが、じわっと押し寄せてくる。そのときに、土俵際で残らずに押し切られた事を後悔する。税理士としても、筋のとおった税理士だとかえって評価されると思う。それに、税務署からは報酬はもらえない。修正申告料にしても立会料にしても出すのは納税者である。